この度、第50回人工心臓と補助循環懇話会学術集会を2022年4月22-23日(金・土)に長野県諏訪市浜の湯にて開催させていただくことになりました。新型コロナウイルスの感染状況が見通せない一方、ワクチンの接種が進み、治療薬の登場が見込めてきた中で、対面で熱い議論を行う本会の特徴を踏まえ、ハイブリッド開催とさせていただくことにいたしました。
本学術集会は、1971年の第1回開催以来、長年にわたり我が国の人工心臓と補助循環治療の研究開発、臨床応用、普及と発展に貢献してまいりました。2022年の研究会は第50回を迎え、この間、臨床医と工学研究者による英知を結集した研究開発、企業による実用化への挑戦、臨床現場と産業界そして行政の協働による臨床応用、そして、臨床医と臨床工学技士・看護師等の協働による健全な普及というように、多様なバックグランドの方が結集する真の集学的アプローチによって、補助人工心臓と補助循環による治療は発展してまいりました。
私自身は、1996年の第25回の懇話会に参加させていただいて以来、本会において臨床の先生方との多くのディスカッションを通じて、患者の救命に劇的に貢献する補助人工心臓に魅了されて研究開発に携わってまいりました。本学術集会は、臨床の最前線で補助人工心臓・補助循環に携われている先生方、多様な専門を持つ工学研究者、臨床工学技士、看護師、企業、行政等の方々が、1泊2日で1つのセッションで昼夜を通して熱いディスカッションができる他の学会には類のない貴重な機会であります。
本邦においては、左心補助人工心臓によるDestination Therapyが始まり、日本発のEVAHEARTが中国で承認を受け、米国でRandomized Control Trialが開始されており、日本の人工心臓が世界へ挑戦する時代の幕開けとなっております。日本発のバイオフロート補助人工心臓も30日間使用の承認を得ており、Bridge to Decisionの新たな治療の選択肢が登場しました。また、経カテーテル的補助循環デバイスの臨床経験も蓄積されてきており、急性心不全に対する治療の選択肢も広がってきております。一方、心臓移植まで到達するまでの補助人工心臓による治療期間は2019年には1500日を超えており、感染を低減・予防する技術、血液成分を壊さず血栓関連合併症を抑制する生体適合性に関する技術、右心不全を抑制する技術、故障しない技術等、より良い治療を実現する更なる研究開発が求められます。小児への補助循環治療技術開発も大きな課題であります。これらの人工心臓と補助循環に関する諸課題を解決するための更なる研究開発を推進し、患者に福音を届けることが我々の使命であります。
以上を鑑みて、本学術集会のテーマは、「夢をつなぐ補助人工心臓治療」とさせて頂きました。
本学術集会にご参加いただき、未来の治療の創造に向けた熱い議論の場となることを心より祈念しております。本学術集会が有意義なものとなりますよう、ご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。