久野 正和 KUNO Masakazu 言語学 ― 理論言語学 (統語論、意味論)、言語獲得

ゼミ紹介

About my seminar

このゼミでは履修者全員に生成文法の具体的な研究成果と基本的な方法論を自家薬籠のものとしてもらうべく、考えられる限り最大限の工夫を凝らした濃密で精緻な計画を組んでいます。2015年度は1990年代以降の生成文法の中心的理論であるミニマリスト・プログラムを集中的に扱っているので、2016年度は理論全体を俯瞰できるように1960年代の標準理論から2000年代のミニマリストにおいて扱われた諸問題の中でも理論的に特に重要だとされるものを取り上げます。テーマは句構造や移動理論など多岐に渡り、体系的に知識を伝授する「初学者のための入門クラス」ではないので、ゼミと同時に統語論基礎(春学期水曜3限)と統語論研究(秋学期水曜3限)を履修(もしくは聴講)することを強く推奨します。
生成文法は人間が生まれながらに持っている言語本能(普遍文法)に関する理論です。生成文法を学ぶことで、人間言語の普遍的な特徴と獲得の仕組みを理解することが出来ます。また、言語能力が種固有の能力であり、人間の心・脳の中核的演算部門であることからすると、生成文法の研究を通じて、人間とは何かという究極の難問に対する答えの一端にも迫ることが出来ると期待されます。2年間精一杯勉強して、ぜひとも言語研究のフロンティアに触れて、出来ればさらにその先へと開拓をもしてもらいたいと思います。とはいえ、生成文法は過去60年間に渡る研究の積み重ねの上に成り立っており、現在でも日進月歩で進展中の果て無きフィールドなので、一朝一夕で理解出来るものではありません。言うまでもなく膨大な時間と努力とダイヤのように純粋で強固な決意が必要です。
毎週、授業に先立ってゼミ生による90分の勉強会が行われた後、3時限連続で授業を行います。具体的には以下のようなスケジュールとなります。

2016年度スケジュール(毎週木曜日)

2限 勉強会
Lunch time
3限 教科書の解説講義
4限 演習問題の解説、関連論文の解説講義
Tea/Coffee Break お茶とお菓子でリフレッシュ&エネルギー補給
5限 演習問題の解説、Q&A

履修者は毎週必ずテキストの指定箇所を予習し、毎週課される演習問題を解き、勉強会を含めて4限連続で出席することを約束出来る者に限ります。授業時間数で換算すれば、半期で2年分に相当するので、かなりハードであろうことは想像に難くないと思いますが、それでも我こそはと思う殊勝な学生諸君の参加を待っています!

【教科書について】
Kayne, R., L. Thomas, and R. Zanuttini. (2014) An Annotated Syntax Reader: Lasting Insights and Questions. Oxford, Wiley-Blackwell.

この本の1-35章のうち、2015年度秋の英語学研究(統語・意味編)で扱っている13, 15, 19, 20, 24, 27, 28章以外を扱います。毎週1章進む予定です。予習段階では、指定された章の論文を読んで、後に続く演習問題を(5問前後)解いて来てもらいます。また、問題を解くに当たり、関連論文を読むことが必要となる場合もあります。授業時間の半分以上は問題の解説に充てるので、出来るだけ自分なりの解答を作って授業に臨んでください。これらの問題の中には未解決のものも数多く含まれており、答えが出せればそのまま卒業論文(どころか博士論文にも)になります。したがって、卒論で何を書けばよいか分からない、あるいは、そもそも卒論なんて書けるのかという心配はいりません。毎週、解いている問題の中から、必ずテーマは見つかるので、それに対する答えをまとめれば、卒論が完成しているはずです。 年間スケジュール(Tentative)

Week Main Textbook
1 Paul Postal (1966) On So-called pronouns in English
2 Joan Bresnan (1970) On Complementizers: Toward a syntactic theory of complement types
3 Noam Chomsky (1970) Remarks on Nominalization
4 Noam Chomsky (1973) Conditions on transformation
5 Stephen R. Anderson and Sandra Chung (1977) On grammatical relations and clause structure in verb initial languages
6 Noam Chomsky (1977) On Wh-movement
7 Jan Koster (1978) Why subject sentences don’t exist
8 Luigi Rizzi (1980) Violations of Wh island constraint in Italian and the subjacency condition
9 Richard S. Kayne (1981) On certain differences between French and English
10 C.T. James Huang (1982) Move WH in a language without WH movement
11 Luigi Rizzi (1982) Negation, Wh-movement, and the null subject parameter
12 Mark Baker (1985) The mirror principle and morphosyntactic explanation
13 Richard S. Kayne (1989) Facets of Romance past participle agreement
14 Lisa Travis (1989) Parameters of phrase structure
15 End-of-the-semester party!
Summer Camp
16 Liliane Haegemann and Raffaella Zanuttini (1991) Negative heads and the Neg criterion
17 Richard S. Kayne (1991) Romance clitics, verb movement, and PRO
18 Giuseppe Longobardi (1994) Reference and proper names: A theory of N-movement in syntax and logical form
19 Anna Szabolcsi (1994) The noun phrase
20 Filippo Begelli and Tim Stowell (1997) Distributivity and negation. The syntax of each andevery
21 Anna Cardinaletti and Michael Starke (1999) The typological study of structural deficiency: A case study of the three classes of pronouns
22 Lisa Lai-Shen Cheng and Rint Sybesma (1999) Bare and not-so-bare nouns and the structure of NP
23 Diane Massam VSO and VOS: Aspects of Niuean Word Order
24 Noam Chomsky (2001) Derivation by phase
25 K. A. Jayaseelan (2001) IP-internal topic and focus structure
26 Julie Anne Legate (2001) The configurational structure of a nonconfigurational language
27 Richard S. Kayne (2003) The Antisymmetry and Japanese
28 “Restructuring” and functional structure
29 Guglielmo Cinque (2005) Deriving Greenberg’s Universal 20 and its exceptions
30 End-of-the-year party