原田 哲男
Tetsuo Harada

専門分野:
応用言語学(第二言語習得、バイリンガル教育、英語・日本語教育、第二言語の音声・音韻)

E-mail: tharada#waseda.jp (replace # with @)

 

Classes

【英語英文学科担当科目】

<2年必修>言語学入門(音韻論)(春)

<2年以上選択>Advanced Phonetics(春・隔年)

実験音声学 (秋・隔年)、Content and Language Integrated Learning(春・隔年)、Bilingualism and Bilingual Education(秋・隔年)、Overseas Internship A・B

<ゼミ>英米文学語学演習I・II F(バイリンガル教育と二言語使用)

<大学院(修士)>英語科教育特論Ⅲ(第二言語習得)、英語科教育演習(1)・(2)、海外学術交流A・B

<大学院(博士)>英語科教育研究演習

 

 

<授業紹介>

学部の授業については、次のリンクからシラバスが見られます。

言語学入門(音声学・音韻論)

Advanced Phonetics

実験音声学

Content and Language Integrated Learning

Bilingualism and Bilingual Education

英米文学語学演習I・II F(バイリンガル教育と二言語使用】(ゼミ選択用ページ

Overseas Internship

 

 

ゼミ紹介About my seminar

応用言語学・言語教育の分野から毎年異なったトピックを選択します。今年度のゼミは、「バイリンガル教育と二言語使用」を扱います。国公立や私立学校の一部では英語を教科として学ぶだけでなく、英語を学習言語として他の教科を学ぶこと(バイリンガル教育の一形態)も徐々に導入されています。政府は「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」に基づき、国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)認定校を大幅に増加させることを目標とし、高校生を対象としたIB Dual Language Diploma プログラムでは6科目中2科目は英語で履修することが求められています。さらに、いくつかの私立学校では、小学校から少なくともカリキュラムの半分の科目を英語で行うイマージョン教育が1990年代から導入され成功を収めています。また、CBI (content-based instruction:内容重視の言語教育) やCLIL (content and language integrated learning: 内容言語統合型学習) のアプローチを採用し、一般の小中高でも英語以外の科目を英語で授業を行うことが多くなっています。大学では、EMI (English medium instruction)という形で専門科目などを英語で履修できる機会も増えています。このような教育形態は、その内容に差はありますが、全てバイリンガル教育と捉えることができます。

 このような現状を踏まえて、春学期には、バイリンガル教育や二言語使用の定義から始め、バイリンガルの言語能力評価、児童期・青年期・成人期以降のバイリンガルの成長、バイリンガルの認知的側面、言語の選択・維持・喪失などについても学び、秋学期はこれらの理論的側面を基礎にし、バイリンガル教育の歴史、バイリンガル教育の様々なタイプとその成果、バイリンガルのリテラシーなどについて考察します。このゼミでは、主に次のような点を目標とします。

  1. 二言語使用について言語的側面、社会的側面、認知的、心理的側面から探る。
  2. バイリンガルの発達について様々な事例を通して考察する。
  3. 北米のバイリンガル教育の歴史を学び、将来の日本の英語教育のあるべき姿を考える。
  4. 国内外で実施されている様々な形態のバイリンガル教育のカリキュラムや成果を探り、バイリンガル教育の利点や課題を認識できるようにする。
  5. バイリンガル教育を実施している学校を訪問し、授業観察を通して教室で行われている実践的な指導法を学ぶ。
  6. バイリンガル教育や二言語使用の分野は非常に広いので、少なくとも一つの分野は深く学び、レポートや卒論に結びつける。

 ゼミの教室内での活動の他に、幼稚園や小学校から母語だけでなく第二言語を使用して、算数、理科等の教科教育を行うイマージョン教育(日本国内の英語イマージョン教育、アメリカの日英一方向または双方向イマージョン教育)の見学を行っています。国内の英語イマージョン・プログラムの他に、毎年希望者には、アメリカの日英一方向イマージョン・プログラム(オレゴン州)や日英双方向イマージョン・プログラム(カリフォルニア州、イリノイ州)でのインターンシップを実施しています。

 また、このゼミでは英語の文献を多読し(一年で500ページ)、春学期と秋学期にそれぞれ10ページ程度の英語でのレポートを課すので、英語が道具として使える学生を希望します。

 

自己紹介:About myself

さいたま市大宮区で生まれ、小学校の時に飛行機が大好きで、よく羽田空港に行き、そこで初めて英語に出会いました。いろいろな国の旅客機に書いてある英語の文字を読みたいと思い英和辞典を引き出しました。パイロットやディスパッチャーになりたいという夢を持っていましたが、気が付いたら応用言語学をやっていました!今でも、海外出張でいろいろな国の飛行機に乗るのが楽しみで、海外の空港に着くとテンションが上がります。そのためか、学生時代から合計15年以上、海外に住んでいました。2005年までは、オレゴン大学で応用言語学や日本語教育の科目を教えていました。

 

専門紹介:My academic field

  言語によるコミュニケーションは、様々な能力を総動員して可能になります。そのため、言語研究には、言語そのものを研究する言語学の分野以外に、言語使用が関わる全ての分野(心理、社会、文化、教育等)を研究する応用言語学という分野があります。私は、応用言語学、とくに「言語と教育(英語教育と日本語教育)」と「言語と心理(外国語の音声習得過程等)」を中心にし、外国語がどのように習得されるかを研究しています。

 今日まで皆さんが経験してきた一連の外国語学習・教育をもう一度いろいろな観点から見直して、それが言語習得にどのような影響を与えてきたのかを、また理論的に裏付けられた効果的な外国語学習とは何かを、第二言語習得(母語以外の言語の習得を研究する分野)の立場から研究しています。言語の学習と教育の研究は、他の分野と比べると、まだ日が浅く解らないことだらけです。その意味でも、知的好奇心を最も満足させる分野の一つだと思います。

 とくに関心のある分野を列挙しておきますので、参考にして下さい。

  1. 言語習得に関わる分野:第二言語習得、第二言語の(実験)音声学・音韻論
  2. 言語と教育に関する分野:英語教育、日本語教育、早期言語教育(イマージョン教育)、バイリンガル教育、内容重視の言語教育
  3. 言語と心理に関する分野:二言語使用(バイリンガリズム)のプロセス

 

私の学生時代:My school life

小学校の時は、学校も先生も嫌いで、「先生」だけにはならないと勝手に決めていました。中学校や高校の時も、航空ファンだったので、英語だけは勉強しましたが、その他の科目は全く勉強しませんでした。浪人して、早稲田大学教育学部英語英文学科に入学し、海外に行ってみたいという気持ちが強く、大学2年生の時にオレゴン州立大学に1年間交換留学しました。卒業後、埼玉県の高校の教師になり、その後イギリスのロンドン大学(UCL)で音声学を、ロンドン大学教育研究科(IOE)で英語教育を、学びました。イギリスからアメリカに移り、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で応用言語学、とくに第二言語習得を学びました。

 

学生の声:What the students say

<学部ゼミ生より>

2015年度学部原田ゼミ3年生(カリフォルニア州立大学ノースリッジ校留学)

私は原田ゼミで学んでいる三年生の竹川香沙里と申します。原田先生は応用言語学や英語教育など学問の指導範囲が非常に幅広いため、タームペーパーや卒業論文に関して相談した際は、特定の分野に関わらず多角的な観点から沢山のアドバイスを下さります。また、私達学生の研究分野について寛大であるため、私達のゼミでは、本当に自分の学びたい、研究したいことについて学ぶことができます。実際、「帰国子女の言語喪失」、「言語習得と家庭の社会・経済格差の相関性」「危機に瀕する言語」など皆、様々な分野の研究に日々取り組んでいます。特に印象に残っているエピソードは私が二年次にどのゼミで学ぶかを決めかねていた際に一言「相談しにおいで」と声をかけて下さり、ゼミの事だけでなく留学の事や将来の卒業論文の事までアドバイスを下さったことです。そのおかげで、自分の学びたいことが明確になっただけではなく、現在カリフォルニアの大学で交換留学生として充実した生活を送っています。このように、ゼミ生一人一人を大切に生徒としてだけではなく、まるで我が子のように気にかけて下さる先生の人柄に関しては、ゼミ志願者が先生の人柄の良さを志願の理由にする程です。また、先生は海外大学院の卒業経験や、海外の大学で教鞭を取っていたこともあり、授業中はまるで海外の授業を受けている様です。例えば、授業は100%英語で行われ、ディスカッションが盛んです。そのため、授業の前はリーディングを沢山行い、予習をしなければなりません。更に、授業で使うパワーポイントも全て生徒達で作成しています。大変に聞こえるかもしれませんが、これらをこなしていたお陰で、TOEICやTOEFLの点数が上がっただけではなく、海外の授業にもついていくことが出来ました。国内にいながら、このような授業を受けられるのはとてもうれしく思います。更に、小学校の早期英語教育のボランティアの機会や、カリフォルニア州、オレゴン州などでの日英イマージョン教育のインターンシップの機会を設けて下さり、原田先生のお力添えで私達は日々充実した学生生活を送っています。

<大学院生より>

2015年度大学院原田ゼミ修士課程1年生(ランカスター大学博士課程修了)

私は原田先生の下で学ばせて頂いている教育学研究科修士課程一年の鈴木駿吾と申します。原田先生の学部・大学院での授業に共通していることは、授業が講義形式ではなく学生によるプレゼンテーションが授業の主体となっていることです。教科書や論文などの教材を理解したところから更に一歩進んだ教室での深いディスカッションを通して、様々な角度から一つの事象に対して理解を深めることができるのが原田先生の授業の魅力の一つだと思います。そのため、プレゼンテーションを担当した際はそれなりに準備が大変ですが、逆を言えばそのトピックに対する知見を深める絶好の機会となります。また、ゼミの場合は先生が学期全体のテーマを学生の興味や関心を反映して決めて下さるので、プレゼンを担当する回だけでなく学期全体を通して自分の興味のある分野を究めることができます。大学や大学院で学ぶことは、中学高校とは違いより専門的なものになります。原田先生は学生が自分の専門を、「これだけは誰にも負けない」と言えるような武器にまで昇華させる機会を十二分に下さる先生です。もし英語教育や応用言語学に関して何か一つしっかり勉強したいという方は、是非原田先生のゼミにいらしてください。きっととても充実した学生生活を送れることと思います。

主要著作:Main Publications

原田哲男(2021)「外国語:外国語活動と外国語科の考え方」『新学習指導要領 どう変わるか』(pp. 56-66) 早稲田教育ブックレット25 学文社

Harada T., & Moriya, R. (2020) Analyzing discourse in EMI courses from an ELF perspective. In M. Konakahara & K. Tsuchiya (Eds), English as a Lingua Franca in Japan (pp. 133-155). Palgrave Macmillan, Cham. https://doi.org/10.1007/978-3-030-33288-4_7

Harada, T. (2020). EMI as sheltered instruction to provide sufficient scaffolding. The Journal ofthe Japan CLIL Pedagogy Association (J-CLIL), 2, 21 – 25.

原田哲男 (2019) 「内容重視の言語教育(CBI)と内容言語統合型学習(CLIL)の実績と課題―第二言語習得とバイリンガル教育を中心に―」 『第二言語としての日本語の習得研究』 22, 44-61.

原田 哲男 (2019) 「イマージョン教育について-日本の小学校英語教育への展望-」 『東アジア地域における小学校英語教育 -日・中・韓の国際比較ー』 (pp. 38-50) 早稲田教育ブックレット21 学文社

Suzuki, S., Harada, T., Eguchi, M., Kudo, S., & Moriya, R. (2018). Students’ perspectives on the role of English-medium instruction in English learning: A case study. The Bulletin of the Graduate School of Education of Waseda University 26 (Separate Volume) (1) 1-17.

Uchihara, T., & Harada, T. (2018). Roles of vocabulary knowledge for success in English-medium instruction: Self-perceptions and academic outcomes of Japanese undergraduates. TESOL Quarterly 52(3), 564-587.

Kudo, S., Harada, T., Eguchi, M., Moriya, R., & Suzuki, S. (2017). Investigating English speaking anxiety in English-medium instruction. Essays on English Language and Literature, 46(1), 7-23.

Suzuki, S., Harada, T., Eguchi, M., Kudo, S., & Moriya, R. (2017). Investigating the relationship between students’ attitudes toward English-medium instruction and L2 Speaking. Essays on English language and literature, 46(1), 25-41.

原田哲男、澤木泰代 (2017) 「パネルディスカッション<抄>  CBI・CLIL・EMIの課題」 『英語で教科内容や専門を学ぶ―内容重視指導(CBI)、内容言語統合学習(CLIL)と英語による専門科目の指導(EMI)の視点から―』 (pp. 85-90) 早稲田教育ブックレット 17 学文社

Sugita McEown, M., Sawaki, Y., & Harada, T. (2017). Foreign language learning motivation in the Japanese context: Social and political influences on self. The Modern Language Journal, 101(3), 533-547. https://doi.org/10.1111/modl.12411

Harada, T. (2017). Developing a content-based English as a foreign language program: Needs analysis and curriculum design at the university level. In M. A. Snow & D. Brinton (Eds.), The content-based classroom: New perspectives on integrating language and content (pp. 37-52). University of Michigan Press.