田ノ口 正悟
(Shogo Tanokuchi)

専門分野:
19世紀のアメリカ文学・文化

E-mail: stanokuchi#waseda.jp (replace # with @)

 

Classes

【英語英文学科担当科目】

<1年必修>Introduction to Literature and Culture(D・H)

<1年生英語英文学科必修科目>米文学史I・II B

<1年以上専門選択>アメリカ小説研究 I

<2年以上選択必修>アメリカ文化史
<ゼミ>英米文学語学演習I・II -G

ゼミ紹介:About my seminar

わたしのゼミのテーマは、「文学作品を通してアメリカの社会や歴史について考える」です。社会背景や歴史的展開をふまえながら文学作品を読みとくことで、アメリカの魅力や深みを立体的に感じることができればと思っています。

卒論のトピックは多岐にわたります。ゼミ生は、古くは、建国の父祖であるThomas Jeffersonから、Herman MelvilleやMark Twainといった19世紀から20世紀を代表する作家、それに、Alice WalkerやToni Morrisonといった黒人作家まで、幅広く研究を行なっています。また、文学に限らず映画を研究している人もいます。ある学生は、数年前に封切りされて話題となったThe Greatest Showman (2017)を、その主人公P. T. Barnumが実際に書いた自伝を交えながら考察しています。このように、文学作品をまじえるのであれば、映画や音楽などもふくめて、建国期から現代まで広く扱えるのが、このゼミの特徴になります。

ゼミの授業内容は、前期と後期で分かれます。前期は、アメリカ建国期から20世紀前半に書かれた文学作品を読んで、アメリカに関する知識を深めていきます。同時に、ライティング技術や信頼のできる文献の収集法を学んで実践することで、論文の書き方を習得していきます。後期の授業では、研究発表を行いながら各自の研究を進めていきます。研究をする上で、オリジナルな自分の意見が不可欠なのはもちろんですが、それを得るためにはじっくりと時間をかけて研究に取り組む必要があります。ゼミでは、発表やディスカッション、コメントや論文の執筆などを通して、学生各自が研究を深めていく手伝いができればと考えています。

自己紹介:About myself

本を読むのが好きです。ゆったりと小説を読んでいるときに何よりの幸せを感じます。とくに好きなジャンルはゴシック小説や怪談で、読むだけでなく、オーディオブックや朗読をBGMに作業したりしています。でもホラー映画は怖くて見られません。また、体を動かすのもそこそこ好きで、週に何回かは家の近くをランニングしたり、大学から始めたバレーボールは現在でも趣味程度に続けています。

出身は福岡です。四方を山と畑に囲まれたのどかな田舎で育ちました。東京に出てきてから10年以上経ちますが、いまだにふと田舎に帰りたくなるときがあります。ちなみに実家は寺で、わたし自身も僧侶の位を持っています。怖い話が好きなのもそのせいかもしれません。近くには世界遺産に登録された宗像大社があり、一家でそこをライバル視しているとかいないとか。

専門紹介:My academic field

19世紀のアメリカ文学・文化を研究しています。当時は、日本でいえば、黒船を率いて浦賀にやってきたMatthew C. Perryに開国を迫られ、明治時代に突入した時期でした。100年以上も昔の話をなぜ今さら、とみなさまは疑問に思われるかもしれません。しかし、19世紀は現在のアメリカ社会の基礎が形成された時代だったのです。

当時は、“All men are created equal”と謳う独立宣言の理想に立ち返りながら、「アメリカ」という国家とは何か、「アメリカ人」としてどう生きるべきかが模索され、追求された時代でした。その結果、政治は成熟して、文化は隆盛を極めます。第7代大統領Andrew Jacksonのもと、アメリカ社会は民主主義の実現にむけて歩み出します。それに呼応するように、Ralph Waldo Emersonは個人の感性を重視した自律的な生き方を説く一方、Herman Melvilleは世界文学の傑作と目されるMoby-Dick (1851)を著して、アメリカを含めた西洋文明への根本的批判を展開しました。

自由と平等を喧伝する一方で、アメリカ社会は矛盾に直面していました。彼らは自分たちの社会のなかに、不平等が残存していることに気づいたのです。それらを改善すべく、社会改良運動がつぎつぎと展開されます。たとえば、Margaret FullerはWoman in the Nineteenth Century (1845)を書いて、保守的な社会における女性の解放を促してアメリカにおけるフェミニズムの先駆けとなりました。また、Frederick DouglassやHarriet Jacobsらは自身の経験から、奴隷制の過酷さを世間に訴え、奴隷解放の機運を盛りあげます。

このように19世紀のアメリカは、自由と平等の理想を希求しつつ、人種・性差・階級などの様々な観点から問題が提起された時代でした。その精神は、1960年代の公民権運動を経て、現在の#MeToo運動やBlack Lives Matterにも受け継がれています。わたしは研究を通じて、19世紀の文学・文化を横断的に扱いながら、アメリカ社会の成り立ちと変遷について考察しています。

私の学生時代:My school life

わたしが大学生のころは、本当に多くのことを積極的に行なっていたように思います。大学からはじめたバレーボールで汗を流す一方、英米文学を専攻していたので、毎日難しい英文を辞書を引きつつ、「読めない、読めない」と頭を抱えていました。また、教員免許を取っていたので、朝から晩まで授業に忙殺されていました。それに並行して、教職サークルにも入り、先輩や友だちと教育の課題や展望について議論し合っていました。

いま思い返しても、あっという間の大学生活だったように思います。高校までとはまったく違う、自由で充実した日々でした。いろんな人や本と出会い、いろんな考え方に感動したあの日々が、いまの自分を形成してくれたのだと思います。

 

学生の声:What the students say

<ゼミ4年生より>

田ノ口ゼミでは、アメリカン・ルネサンス期と呼ばれる19世紀中葉のアメリカ古典文学作品に触れていきます。普段は主にディスカッションや発表を通して作品に対する意見交換を行っています。本ゼミでは作品への素朴な疑問を大切にしているので、知識が無いことを心配する必要はありません。また、卒論執筆に向けては、田ノ口先生が丁寧かつ熱心に指導してくださいますので、安心して研究に打ち込むことができます。ゼミ生も皆穏やかなので、少しでもアメリカ文学を学ぶ意欲のある人はぜひ田ノ口ゼミへ!

<ゼミ3年生より>

田ノ口ゼミでは、主に19世紀のアメリカ文学を学んでいます。独立宣言を理想とする裏で様々な問題が明らかになった時代である19世紀の文学を読み解き、些細な疑問を全員で共有することで作品に込められた意図を追求しています。ただ、決して難しい話題だけ扱うのではなく、19世紀のアメリカ文学を絡めた内容であれば音楽や映画なども研究対象にできます!文学だけでなく、現代に蔓延る様々な社会問題の知見を深められることがこのゼミの良さだと感じています。

主要著作:Main Publications

  • 「大西洋を渡る建国の父祖――ハーマン・メルヴィルの『イスラエル・ポッター』にみる「アメリカニズム」批判と再創造」『マニフェスト・ディスティニーの時空間――環大陸的視座から見るアメリカの変容』下河辺美知子編、小鳥遊書房、2020年、175-99頁。
  • 「海とアメリカ捕鯨」『よくわかるアメリカ文化史』巽孝之、宇沢美子編、ミネルヴァ書房、2020年、192-97頁。
  • “A Dead Author to Be Resurrected: The Ambiguity of American Democracy in Herman Melville’s Pierre.The Journal of American Literature Society of Japan, vol. 15, 2017, pp. 5-23.