2018年度10月研究例会(第174回オペラ研究会)

研究発表

バロック舞曲研究と17-18世紀フランスの音楽劇:関連と展望

◇発表者:中村良
◇日時:2018年10月6日(土)16:30-18:00
◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス 3号館702教室
◇言語:日本語

概要

舞踏の伴奏として作曲されたメヌエット、ガヴォット、ジグなどのバロック舞曲を研究するにあたり、17-18世紀フランスの音楽劇は重要な研究対象である。当時のいわゆるフランス・オペラ(音楽悲劇、バレ、パストラル等)には必ず舞踏が含まれ、現存する当時の振り付けの多くはこれらの楽曲に対してなされている。

フランスの音楽劇は特に近年の研究から、同時代の他国のオペラとは大きく異なる美学を基に構築され、独特のジャンルや構造を有していることが再認識されている。本発表では特に王立音楽アカデミーの創立期に焦点を当て、当時の音楽劇に関する用語法や定義等について確認を行う。

その上でバロック舞曲研究の観点から、特定の舞曲の種類と作劇法との関連について考察を行う。バロック舞曲の様々な種類は、その起源や当時の通念を参照することで、特定の概念を想起するものと捉えられがちである。しかし実際には、劇中のあらゆる場面でさまざまな種類の舞曲が用いられており、特定の概念との関連は希薄である。むしろパストラルな場面ではミュゼットを模した持続音が用いられるなど、音楽的内容を場面に適合させて柔軟に作曲されている実態が観察される。

発表者プロフィール

武蔵野音楽大学大学院博士後期課程修了(音楽学)。専門はバロック舞曲、特に舞踏伴奏に用いられた17~18世紀フランスの劇場作品の舞曲について。早稲田大学オペラ/音楽劇研究所主催のシンポジウム「モンテヴェルディのオペラから広がるバロック・オペラの世界」(2017年12月)にパネリストとして参加。2018年より早稲田大学オペラ/音楽劇研究所招聘研究員。日本音楽学会、日本18世紀学会所属。

※プロフィールは発表当時のものです


開催記録

参加者:21名

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